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チャタレイ裁判

LADY CHATTERLEY CASE / 1957

文学なら、
何を書いても許されるか。

一文でいうと

D・H・ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』の日本語完訳版をめぐり、翻訳者と出版社側が刑法175条のわいせつ文書販売罪に問われた裁判。

短い概要

1950年、伊藤整訳の『チャタレイ夫人の恋人』完訳版が小山書店から刊行されました。検察は性的描写を問題とし、翻訳者の伊藤整と出版社社長の小山久二郎を起訴します。

争点は、文学的・芸術的価値を持つ作品でも、わいせつ文書として処罰できるか、そしてその規制が憲法21条の表現の自由に反しないかでした。

最高裁大法廷は1957年3月13日に上告を棄却し、有罪判決が確定しました。

これは戦前の行政的な「発売頒布禁止処分」ではなく、戦後の刑事裁判です。通称「発禁本」と一括されますが、制度を区別します。

争点と当事者

01 / 原作

D・H・ロレンス

1928年に私家版として刊行された英語小説。性、身体、階級社会を扱います。

02 / 翻訳者

伊藤整

完訳版を手がけた作家・評論家。出版への関与を理由に刑事責任が問われました。

03 / 出版者

小山久二郎

小山書店社長。完訳版を出版・販売し、伊藤整とともに起訴されました。

04 / 法律

刑法175条

わいせつな文書等の頒布などを処罰する規定。表現の自由との関係が争われました。

裁判を理解する4段階

01

刊行――完訳を出す

削除版ではなく、問題とされた性描写を含む完訳版が出版され、大きな注目を集めました。

02

起訴――出版行為が問われる

作品を書いた原作者ではなく、日本で翻訳・出版した側が刑法175条違反に問われます。

03

争点――芸術とわいせつ

作品全体に文学的価値があれば処罰対象から外れるのか、どの部分と基準でわいせつ性を判断するのかが争われました。

04

最高裁――上告棄却

最高裁は芸術性とわいせつ性が併存し得ると考え、表現の自由も無制限ではないとして上告を棄却しました。

この節は全体像をつかむための案内です。作品ページは結末を代替せず、知識ページは確定事項と未解決部分を区別しています。

何が重要なのか

01 / WHO DECIDES

誰が線を引くのか

社会通念を基準に裁判所が判断するとき、価値観の変化を誰が代表できるのかという問題が残ります。

02 / WHOLE & PART

全体と部分のどちらで読むか

文学作品全体の思想・芸術性と、個別描写が与える刺激をどう比較するかが核心でした。

03 / AFTERLIFE

判決は後の表現規制へ残る

この判決が示した考え方は、その後のわいせつ表現をめぐる裁判で繰り返し参照されました。

「裁判所が文学を禁止した」だけでは足りない

判決は作品の文学的価値自体を否定したわけではありません。それでも刑事処罰を認めた点が重要です。芸術性があることと、刑法上のわいせつ性を否定することを別問題としたため、表現の自由をめぐる代表的判例になりました。

知っておきたい
基本情報

  • 刊行伊藤整訳の完訳版は1950年に小山書店から刊行。
  • 被告人出版社社長・小山久二郎と翻訳者・伊藤整。
  • 最高裁昭和28年(あ)第1713号、1957年3月13日大法廷判決。
  • 結果上告棄却。両名の有罪が確定。
  • 区別行政機関が流通を止める「発禁処分」と、刑法違反を裁く刑事裁判は制度が異なります。

出典・参考資料

  1. チャタレイ事件判決文裁判所
  2. 「チャタレイ事件判決」書誌国立国会図書館サーチ
  3. チャタレイ裁判の調べ方レファレンス協同データベース

上記の公式・学術資料を確認し、要約と解説は「万象目録」編集部が独自に作成しました。作品案内は本編の代替を目的とせず、知識記事は確定事項と解釈を分けています。最終確認日:2026年8月11日。
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