一文でいうと
光を出さず直接は見えないが、銀河の回転や重力レンズなどへ及ぼす重力から存在が推定される未知の物質。宇宙の約27%と見積もられる。
短い概要
銀河の星は、見えている物質だけでは説明しにくい速さで回っています。銀河団の運動や、遠方の光が曲げられる重力レンズにも、目に見える量以上の質量が必要です。
その見えない質量をダークマターと呼びます。「暗い色の物質」ではなく、光を吸収・反射・放射しないため電磁波では直接見えない、という意味です。
存在を示す重力の証拠は多い一方、何の粒子でできているかは分かっていません。ダークエネルギーとは別の問題です。
4つの証拠と区別
回転速度
銀河外縁の星が、見える物質だけから予想されるより速く回ることが、見えない質量を示します。
集団の運動
銀河団の銀河が高速で動いても集団が保たれるには、追加の重力源が必要です。
重力レンズ
質量は時空を曲げ、背景天体の光をゆがめます。光のゆがみから見えない質量分布を地図化できます。
ダークエネルギー
ダークマターは重力で集まりやすく、ダークエネルギーは宇宙の加速膨張を説明する名称です。同じものではありません。
理解する4段階
見える物質を数える
星、ガス、塵などが出す光から、通常物質の量を推定します。まず「見えている分」の重力を計算します。
実際の運動と比べる
銀河や銀河団の速度が予測と合わなければ、見えていない質量か、重力理論の修正が必要になります。
複数の証拠を重ねる
回転だけでなく、重力レンズ、宇宙背景放射、大規模構造など独立した観測が、同様の見えない成分を要求します。
正体の候補を検証する
未知の素粒子、初期宇宙のブラックホール、重力理論の修正などを、実験と観測で絞ります。現時点で単一の正体は確定していません。
この節は全体像をつかむための案内です。作品ページは結末を代替せず、知識ページは確定事項と未解決部分を区別しています。
何が重要なのか
見えないものも測定できる
対象そのものを撮影できなくても、周囲へ与える効果を複数の方法で測れば科学的な証拠になります。
名前は答えではない
「ダークマター」という名称は、未知の質量成分をまとめて呼ぶものです。何であるかを説明した言葉ではありません。
銀河を作る足場になる
NASAは、ダークマターが宇宙の大規模な網状構造を作り、通常物質を引き寄せる重力の足場になると説明しています。
ブラックホールとの違い
ブラックホールは特定の領域へ極端に質量が集中した天体で、周囲の物質や重力波から個別に観測できます。ダークマターは銀河や宇宙全体へ広く分布する未知の質量成分です。一部を原始ブラックホールで説明する仮説はありますが、同義ではありません。
知っておきたい
基本情報
- 割合NASAの概説では宇宙の約27%。通常物質は約5%。
- 性質光を吸収、反射、放射しないため直接見えません。
- 作用重力を通じて銀河や銀河団の運動と構造へ影響します。
- 区別宇宙の加速膨張に関わるダークエネルギーとは別です。
- 未解決構成粒子や正体は確定していません。