万象目録総目録
EVERGREEN / FILM / ANIMATION

千と千尋の神隠し

幻想的な世界を眺めるだけの映画ではない。突然ひとりにされた千尋が、働き、他者を見分け、自分の名前を守ることで帰る力を身につける物語である。

収録 2026.08.17読了 約3分EVERGREEN 07
5 SEC

異界に迷い込んだ少女・千尋が、名前を奪う魔女の湯屋で働き、豚にされた両親と自分自身を取り戻そうとする物語。

30 SEC

引っ越しの途中で不思議な町へ入った千尋は、両親を豚に変えられ、神々が訪れる湯屋で働くことになる。支配人の湯婆婆に名前を縮められて「千」となり、少年ハクらに助けられながら異界の規則を学ぶ。核にあるのは、怖くても働くこと、欲望に飲まれないこと、名前と記憶を失わないことである。

WHY SELECTED

日本のアニメーション映画を代表し、興行、国際映画祭、アカデミー賞の文脈まで接続する定番。キャラクター名の暗記ではなく、「働く・欲望・名前」の三語から作品へ入れるよう収録した。

まず、三語だけ。

01働く
02欲望
03名前と記憶

三分で、輪郭を得る。

千尋は両親と新しい町へ引っ越す途中、トンネルの向こうにある無人のような町へ迷い込む。両親は店先の料理を勝手に食べて豚へ変わり、日が暮れると神々や異形の者たちが現れる。消えかけた千尋はハクに助けられ、生き残るには湯屋で仕事を得なければならないと教えられる。

湯屋を支配する湯婆婆は、契約した者の名前を奪う。千尋は「千」と呼ばれ、仕事のできない子として扱われながら、釜爺、リン、客として訪れる神々と関わる。ここでの労働は単なる根性試しではない。相手をよく見て、必要な手を動かし、周囲との関係を作ることで、千尋は恐怖に支配されなくなる。

一方、湯屋では欲望が人を見誤らせる。金を出す者へ群がる従業員、際限なく求めるカオナシ、支配と所有に執着する湯婆婆が、その危うさを別々の形で見せる。千尋は豪華さや力ではなく、名前、記憶、約束を手がかりに相手を見る。その態度が、元の世界へ戻るための輪郭を作っていく。

事実と留保を分ける。

確認できたこと

  • 2001年7月20日に公開された、上映時間約125分のスタジオジブリ作品である。
  • 原作・脚本・監督は宮﨑駿、プロデューサーは鈴木敏夫、音楽は久石譲。
  • 2002年にベルリン国際映画祭の金熊賞、2003年に第75回アカデミー賞の長編アニメーション映画賞を受賞した。

留保すべきこと

  • 日本の神話や民俗を思わせる意匠は多いが、特定の昔話をそのまま映像化した作品ではない。神々や異形の存在を一対一で説明し切ろうとしない方がよい。
  • 「働けば成長できる」という教訓だけに縮めると、欲望、消費、名前を奪う支配、他者を正しく見ることという複数の層を落とす。結末の手順は記していない。

大外しを防ぐ

カオナシを単純な悪役と決めると外す。周囲の欲望を映し、与えられたものを際限なく取り込む存在として描かれる。また、ハクとの関係だけを恋愛として処理すると、名前と記憶を互いに支える核が見えにくい。

理解の要点

千尋が強くなるとは、怖くなくなることではない。怖いまま相手を見て、必要な仕事をし、自分の名前と約束を忘れないこと。その小さな選択の積み重ねが異界を進む力になる。

出典・確認先

  1. スタジオジブリ|千と千尋の神隠し 作品情報
  2. スタジオジブリ|年表
  3. スタジオジブリ|スタジオジブリの歴史

最終確認:2026年8月17日。公式・公的アーカイブの一次情報を優先し、結末の代替にならない範囲で記述しています。