一文でいうと
カトリック信徒が許可なく読むことを禁じられた著者・書物を示した教会のリスト。16世紀に制度化され、1966年に教会法上の効力を失った。
短い概要
印刷技術と宗教改革によって書物が急速に広がると、教会は信仰や道徳を損なうと判断した出版物を審査し、読むことを制限しました。1559年にはローマで禁書目録が刊行され、その後も改訂が続きます。
対象は異端とされた神学書だけではありません。哲学、科学、文学なども版や内容によって掲載されました。ただし時期、地域、許可の有無で運用は異なり、「載った本は世界中で物理的に焼かれた」という単純な制度ではありません。
1966年6月、教理聖省は目録が教会法上の効力と付随する制裁を失うと通知しました。同年11月には関連する旧教会法上の罰則も廃止されました。
制度の4要素
信仰と道徳の保護
教会当局は、信徒を誤りや道徳上の危険から守ることを制度の根拠としました。
著者・作品・版
著者の全著作、特定作品、修正されるまでの版など、禁止の範囲は一様ではありません。
審査と許可
読むこと、所持、出版に許可が関わる場合があり、研究目的などの例外も存在しました。
法的効力の廃止
1966年の通知により、目録は教会法上の拘束力と付随する制裁を失いました。
制度を誤解しない4点
宗教改革と印刷の時代に置く
大量印刷は思想を速く遠くへ運びました。目録は、宗教的権威が新しい情報流通へ対応した統制制度の一つです。
検閲と目録を分ける
出版前審査、個別の禁止命令、世俗国家の検閲、禁書目録への掲載は関連しますが、同じ制度ではありません。
掲載理由を作品ごとに見る
一人の著者でも全著作が対象とは限らず、修正版や注釈付き版が許可される場合もありました。一覧だけで思想内容を判断できません。
1966年の文言を正確に読む
教理聖省は目録が道徳的な警告として意味を持つとしながら、教会法と制裁の効力は失うとしました。単純な「全内容の撤回」ではありません。
この節は全体像をつかむための案内です。作品ページは結末を代替せず、知識ページは確定事項と未解決部分を区別しています。
何が重要なのか
目録は知識を分類する権力
何を危険と名づけ、誰に読ませないかを一覧化すること自体が、読書と学問の境界を作ります。
禁止は関心も生む
禁じられた事実が作品の知名度を高め、別地域での流通や秘密の読書を促す場合もありました。
現代の推薦リストとは逆の目録
通常の目録が到達を助けるのに対し、禁書目録は到達を制限するために書誌情報を組織しました。
「発禁本」と何が違うか
日本語の「発禁」は国家が出版・販売を禁じる制度を指すことが多い一方、禁書目録はカトリック教会内部の信仰・教会法上の制度です。誰が、どの法域で、誰に対して禁止したのかを分けると比較できます。
知っておきたい
基本情報
- 制度化16世紀、印刷と宗教改革の時代にローマの禁書目録が制度化されました。
- 名称ラテン語で Index Librorum Prohibitorum。
- 対象神学だけでなく、哲学・科学・文学を含む多様な著作。
- 1966年6月目録が教会法上の効力と付随する制裁を失うと通知されました。
- 1966年11月関連する旧教会法上の禁止・罰則が効力を失ったことが確認されました。